巨匠
私は人生、違う人生を歩みたいと思いました。毎日同じ場所に行って同じ人に会って同じ仕事をしたくなかったのです。面白いチャレンジが欲しかったのです。
巨匠は好奇心旺盛な上に合理主義的かつ現実的で、自分の周りの世界を実際に見たり触ったりしながら探索するのが大好きな人たちです。創作の才能があるので、プロジェクトを転々としながら周囲の環境から学び、遊び半分に役立つものや不要なものを作り上げたりするのを楽しみます。エンジニアや整備士として何かを分解して、以前より少し良い形に再度組み立てることに極めて大きな喜びを感じるでしょう。
何かを作ったり、トラブルシューティングや試行錯誤をしたり…巨匠は実体験を通してアイデアを探索します。他の人が自分のプロジェクトに興味を持つとうれしく思い、首を突っ込まれても気にならないこともありますが、もちろん周りの人が巨匠の信念と自由を尊重することが前提です。巨匠が逆に相手のプロジェクトに関心を持つこともじゅうぶんありえるでしょう。
特に自分にとって大切な人たちと一緒に何かを行ったり、手助けをしたりするのが好きなタイプなので、巨匠型の人たちは全人口の約5%しか占めないのが残念です。女性の巨匠はもっとレアですが、社会が女性に求める“性別役割分業”には当てはまらない人たちです。幼いときから“わんぱく”だと思われる女性の巨匠は少なくないでしょう。
あえて違うことをする
機械的な気質があるので一見単純な人だと思われがちですが、実際はかなり謎めいた人たちです。友好的だけど人前に出たがらず、落ち着いているけど急に何かを無計画にすることがあり、並外れて好奇心旺盛だけど学業に集中できない…このような性分の持ち主なので、巨匠が愛する人たちや友人でさえも巨匠の言動を予見するのは簡単ではありません。とても忠実で落ち着いているように見えるのですが、衝動的なエネルギーを蓄えている傾向があり、何の前触れもなくエネルギーを爆発させることで興味の矛先が大胆に変わることもあります。
現実主義に基づいて意思決定をする上に、公正さ——つまり「人にしてもらいたいと思うことをあなたも人にしなさい」という姿勢——を非常に大事にする人たちです。これを知っていると、巨匠の不可解な気質も納得できるでしょう。自分が不快な思いをしたくないので、人の感情を損ねないようにする——このように過度に用心深くなるのではなく、いい意味でも悪い意味でも相手からの仕返しはフェアなものとして受け入れるタイプなので、別の意味でやり過ぎでもあります。
巨匠にとって最大の難関は、自分の寛大な性分を当たり前のものと考え、周りの人も同様に寛大だと思い込んで身軽に行動し過ぎてしまうことです。無神経な冗談を言ったり、他の人のプロジェクトに深入りし過ぎたり、ばか騒ぎをして遊んだり、もっと面白いことを見つけたからといって急に計画を変えたり——巨匠はこのようなことを真っ先にするタイプです。
規則に従わない
他の多くの性格タイプは自分よりかなり明確に“規則”や“容認できる行動”についての許容範囲を設定していることに巨匠は気づくでしょう。他の性格タイプは配慮に欠ける冗談を聞きたくないと思っているだけでなく、当然自ら同様の冗談を言い返すことはしません。馬鹿騒ぎが好きな人と一緒にいても自分自身は馬鹿騒ぎには参加しないのです。感情がたかぶっている状況で相手のこのようなバウンダリーを無視してしまうと、思わぬ面倒を招くこともあるでしょう。
感情を予測するのは巨匠にとってものすごく難しいことです。でも、巨匠の感情や動機を判断するのは極めて困難な上に巨匠は公正さを大事にする傾向もあるので、これは自然な流れでしょう。共感力ではなく行動を通して人間関係を円滑にしようとする巨匠の傾向は、もどかしい状況を生み出してしまうこともあります。必要に応じて規則を無視したりして自由に動き回りたい人たちなので、巨匠はバウンダリーやガイドラインを苦手とします。
自分のスタイルと予見不可能な性分を理解してくれる良き友人と一緒に働ける環境を見つけられた場合には、持ち前の実務を大事にする姿勢、ユーモアのセンス、創造力を総動員して、解決策や実践的な何かを生み出しながら、長期にわたり色々と便利なものを作り出し、幸せと満足を感じるでしょう。